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平沢進・P-MODEL等のニューウェイヴと私の日常を……

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2015.07.13 Monday

横川理彦 「Trittico」 全曲感想 (2015年)

JUGEMテーマ:音楽


横川さんについて、私はあまり深く知りません。「カルカドル」の頃に在籍していた元P-MODELのメンバー。そして4-Dのメンバー。あと"バイオリンの人"と言うくらいしか知りません。そんな私でも一度聴いただけで一気に世界観に引きづり込まれてしまいました!!

と言うことで、今回ご紹介する作品は、


横川理彦で「Trittico」!!!!


この作品は、2012年にリリースしたCD-R三部作(変拍子エレクトロニカな「753」,ヴァイオリンエレクトロニカな「Viologue 1 Inner City Suite」,そしてヴォイスエレクトロニカな「Voice Coming」)をリマスターして一枚にしたものです。

バイオリン・ギター等の弦楽器と、シンセサイザー・エレドラ等の電子楽器をメインにして鳴らされる演奏は、変拍子と変拍子のループが絡み合って絡み合ってとにかく、異質で混沌で摩訶不思議な世界観になっております。使用している楽器は同じかも知れませんが、聴き易い"歌もの"や、はたまた"踊れるテクノ"とは全く違い、明らかに人を選ぶ作品です。実験音楽に近い雰囲気であることもあり、まず、聴いてみても大半の人は【意味が分からない】と思うことでしょう。私もそうでした。でもオススメしちゃいます。何故かって!?だって、このズレと違和感の気持ち悪さから来る喜びは、一度味わってしまったら抜け出せませんからね!!!!!YEAHヽ(^o^)丿


そんなこんなで全14曲の感想を書いていきます。ご購入の参考になれば幸いです。
 


 
「Viologue 1 Inner City Suite」#1-#6

#1.Crossing (4:06)
幾本ものバイオリンで演奏されるインスト楽曲。一般的な流れのある曲と言うよりかは実験音楽に近い様にも思えます。さて、曲ですが、まず1本のバイオリンのゆったりした短いフレーズから始まります。このバイオリンが同じフレーズを2周ほど繰り返していると、別のフレーズのバイオリンが加わります。この2本目のバイオリンは1本目のバイオリンとリズムも拍も違うので、単純な筈の2つのフレーズが同時に演奏されることで複雑なメロディに変わります。その変わり様が実に急激で非常に面白いです。なんてことをじっくり思っている暇無く、次に3本目と4本目のバイオリンが加わります。この2本のフレーズは非常にテンポが速く、細かく演奏されるので、最初のゆったりした2本のフレーズと絡み合って加速します。これが、同じフレーズも鳴り続けている筈なのに、そんなこと微塵も気付かせない程に演奏の印象をガラリと変えていて、もう凄いの一言な訳です。はい。その後もバイオリンのフレーズ(一部、木琴風のフレーズ)が出たり入ったりを繰り返し、組み合わせによってメロディを瞬時に変える演奏で曲が続いていきます。素晴らしい。本当に素晴らしい。一体全体どんな音の組み合わせでこんなことになっているのか読み解きたくなること間違い無しです。しかし、実際に聴いてみれば分かりますが、それはとても難しいでしょう。何故なら、集中して聴いても演奏が複雑かつ高速過ぎて脳内で追いつけないのです。同時に5つも6つも違うフレーズが、タイトル通り"交差し合って"模様の様に演奏している曲なのです。全然間に合いません、潔く諦めましょう。むしろその様な堅っ苦しい聴き方をしていると頭がこんがらがって疲れます。なので、そんなことせずに、この曲は、流れてくる音楽にただただ身を任せましょう。「てか、初めて聴いた時からこの曲全然意味分かんないんですけどー。」って人も同じです。されるがままにただただ流れてくる音楽を漠然と聴きましょう。何も考えずに全体像でボンヤリ聴きましょう。それが私のオススメの聴き方です。そのやり方で聴けば皆さん曲が終わった後に必ずこう思う筈です。「なんて壮大で素晴らしい曲なんだろう!しかも癒される!!」。

#2.Whistle (1:44)
これまた音の数は少ないのに複雑に聴こえる曲です。今度は電子音がメイン。2分弱と言う長さですが、短く思えない異空間電子音楽になっております。チープな電子バスドラの4つ打ちと6拍子で繰り返される透き通ったシンセフレーズから曲が始まります。滑らかに残響をばら撒きながら演奏されるシンセと、無機質に繰り返されるバスドラの組み合わせは、テンポは揃っているのでしょうが、とてもズレているように聴こえて面白いです。さて、少し経つとバスドラはそのままにシンセの音がバグった様な音色の奇怪なフレーズに変わります。これがループしているんですが、とても飛び散った作りになっていて、まるで拍が追えません。面白い。そして、一旦静かになったかと思えば、バスドラが急に加速しだします。イントロのフレーズも加わり、グッチャグチャに絡み合った電子音が平気な顔して駆け抜けていきます。奇怪過ぎる。そして、最後にネタばらしとも言うべきか、ゆっくりになり電子音が解けていき、ベース音だけになり終了です。2分弱に詰め込みまくり。

#3.Mission (4:21)
分かり易い足し算ループ曲。曲が進むごとに色々な音のフレーズが足されていきメロディが変化していく内容です。音色は全然違いますが、よくテクノにある感じの作りですね。内容は、まず最初に"アヒルの鳴き声の様なラッパ風フレーズ"、次に"低音の音フレーズ"、次に"カチカチカチっと言うボタンでも押している様な音のフレーズ"、次に"クリスタルが跳ねかえる様な音のフレーズ"、そして、メインになる"鳴り響き系のギターフレーズ"ここだけ長くて色々弾きます。その次は"テクノのベース音風フレーズ"、そして面白い"エフェクトバイオリンフレーズ"、で、また"鳴り響き系ギターフレーズ"、そして何故か"卓球でもやってるのかなフレーズ"この辺りまで揃ったら、後はひたすら繰り返しでギターのフレーズがメインに出てきます。うん、なんて言うか、テクノっぽいしテクノじゃないな(笑)。

#4.Wayside (3:11)
3本のバイオリンのみで演奏される重厚で悲しげなミディアムテンポ曲。"やっと普通の感じでバイオリン弾いてる!!"って感じです。あんまり弦楽器の曲って聴かないんですけど、音の深みと奥行きが物凄いですね。突飛なことなど、まるで起きない曲ですが、ただただ「凄いな〜」って思ってしまいます。

#5.Alley (2:24)
3つの弦楽器が絡み合うミディアムテンポの楽曲。アメリカの田舎の酒場でのんびりって雰囲気を醸し出します。曲の序盤はアコギとアコースティックなベースの両者が籠った音を出しながら絡み合うフレーズを弾いています。全然耳で追えないんですが、これがなんとも"のんびりノスタルジー"。少し経つと、そこへ奥行きエフェクトを掛けられたアコギ(?)がもう1本加わります。この3本目の弦楽器だけ音が際立っていて、籠った音の前者との対比も相まって、1本だけ空中に浮いている様な不思議な感覚に陥ります。3本のフレーズが絡み合って一つのフレーズを鳴らしているのは確かなのに、なんとも"2本+1本"なのです。この違和感が素敵に気持ち悪くて好きです。

#6.4am (3:29)
幾本ものバイオリンのみで雄大に演奏されるスローテンポの曲。もはや流れや、メロディと言う話の曲では無く、延々と似たフレーズをゆったり繰り返し、空間を構築しています。言うなれば、"バイオリンの精霊達が、眠りの世界に君を迎えにきたよ"って感じです。映画のラストシーンで"おじいさんが眠りにつきます"とかにも合いそう。そんな感じのゆったり雄大な曲です。実際に、これ聴いてたら良く眠れそう。


「Voices Coming」#7-#10

#7.Key Lost
声を楽器としてフューチャーした無機質と闇と混沌が同居する不思議な曲。アップテンポなリズムでボーカルはボコーダーかつラップ調。曲が進む程に演奏が進化して行くのが面白いですが、それより何よりメロディらしいメロディの演奏が無いのも面白い曲です。まず初めに、バスドラ風に奏でる"低音"と、ハイハット代わりに口で"チキッンチキンチキチキッ"言っている声のループとでリズムを固めてから曲が始まります。これだけで無機質で異質なのですが、そこに更にボーカルが加わります。これが前述したとおりに、抑揚の無いボコーダーボイス。しかし、気合は入っているようで、力強くラップのように歌います。そんな訳で結果的にボーカルの声が悪魔的に聴こえて、んー、なんとも異空間感増し増しです。さて、どこがAメロでどこがサビだったか分からないですが1番が終わり2番に入ると、今までの演奏に加えて、電子音の煙の様な音と、電子打楽器音、そして更に変なボコーダーコーラスが加わります。なんと言う、不可思議な世界観。本当に終始、平坦でイビツで、無機質でモノクロで悪魔的にカオスな、そんな曲です。

#8.Air Very (3:39)
電子水溜まりの様な可愛げな音色のループフレーズの上で、ひたすらに"尺八を咥えた"様なボーカルがチョロチョロ話す曲です。途中R2-D2の様な音声が入ったりして、中々に違和感モリモリです。そして、これがキモですが、曲中盤から、尺八ボーカルが気でも狂ったかのようにスーパー早口になり歌いまくります。それはまさしく機械の暴走を彷彿とさせるもので、ゆったりとした可愛いメインフレーズとの比が"異質"です。聴いている側はポカーン不可避です。なんて不思議な音楽だ。

#9.Kudan (3:33)
水中に居る様な気分になるミディアムテンポの曲。曲の始まりは、水中の様なシンセのベースフレーズが5拍子で繰り返されます。ここまでは普通。少しすると水中の様なシンセフレーズが5拍子で加わります。これも普通。普通なんですが、フレーズを始めるタイミングがズレているので、同じ5拍子でも凄く変な感じに聴こえます。すーごくズレている様に聴こえます。面白い。これでメロディの基礎が決まりまして、ボーカルが入ってきます。このボーカルもエフェクトが掛かっていて聴き辛いんですが、とても"日本人が話す英語"と言う様な感じで違和感ありありです。歌と言うよりかは語りですね。その後、神秘の力的な電子音が鳴り響いたり、海の神の怒りみたいなコーラスが加わって、なんだか神秘的です。凄く水中っぽい。そして、凄く神秘的。

#10.Step Stair (5:16)
スローテンポの歌もの。無音の中で、途切れ途切れに止まったり演奏されたりするピアノと電子音、そして生声でじっくり歌われるボーカル。鳴っている音は、それだけです。あんまりに音以外が無音なので、"宇宙空間"で聴く音楽ってこんな感じかな?と思ってしまいました。もしくは"壊れたオルゴール"を想像するやも。とにかく、シンプル。なのに何処でも聴いたこと無い音楽です。凄い。この曲は、聴き易いかも。


「753」#11-#14

#11. 3 (4:48)
これまた実験音楽的なインスト曲です。テープの逆再生音の途切れ途切れループから曲が始まり、そこに一定でない低音と壊れた様なスネア音が加わり、基本となるリズムフレーズの完成です。このリズムに色々な楽器の不思議なフレーズが代わる代わる乗っかり不思議な世界観を醸し出します。例えばボンゴの様な音色で民族的な雰囲気へ、例えばDJのスクラッチ音と継ぎはぎバイオリン音で異次元的な空間へ、等々。とにもかくにも、上に乗っかる音のフレーズが細かく裁断されていて、基本のリズムフレーズとのギャップで騒がしいです。終盤1分は、一旦静かになり基本のリズムフレーズと洞窟で弾かれている様なバイオリン音で演奏され、怪しげに終わります。全体的なイメージとしては、"地下鉄の窓から見える魑魅魍魎満載の過ぎゆく町並み"と言った感じでしょうか。うん、分かり易い。

#12. 8-9 (1:56)
増えて行くループとズレを楽しむ楽曲です。曲の始め、電子音のリズムフレーズが8拍子で鳴っています。そして少し経つとウッドブロックやスチールパン風の音が入ってきます。これは、同じ8拍子のフレーズの中で繰り返されているのですが、どうにもアタックのタイミングが遅いのかズレて違和感があります。しかし、これはまだ違和感程度。その次に、入ってくる低音のシンセフレーズこそがこの曲のキモ。めっちゃズレていて違和感丸出しなのに、拍が違うからズレて聴こえるのか、なんなのかまるで掴めません。何なんだろうコレ。と思っていると明るい電子音のフレーズやマラカスの様なフレーズも追加され更に豪華に激しくなっています。またいつもの様に、もう脳みそで追えません。んー、悔しい。と思った頃には曲が終わっています。あら。

#13. 5 (5:08)
一見すると何の繋がりも無いバラバラのピースを集めて行き、最後にまとめて観ることで、一つの絵を完成させる。そんな様な内容です。さて曲は、カエルの鳴き声の様なメリハリのあるシンセ音が跳び跳びで演奏される所から曲が始まります。バックの演奏は、工場の様なリズム隊と何故かサンプリングされた喋り声です。40秒程経つとカエルシンセはそのままに、バックの演奏がスタイリッシュな電子ドラムのリズムに変わります。ここに写真のシャッター音等の効果音が加わりながら曲は進む。また40秒程経つと、今度はバックが変わらずにカエルシンセの方が中東やら中国風のシンセ音に変わります。演奏もなんだか、うにょうにょしていて区切りがありません。リズム隊がキリッとしているので余計に気だるげ。更に少し経つと、今度は中東シンセが籠ったパイプオルガンの様なシンセに変わります。この音色は後ろが伸びる様な感じでのんびり。一方でリズム隊はただシャカリキに細かく演奏しているので違和感バリバリです。最後は、カエルシンセ・中東シンセ・オルガンシンセのフレーズが同時に演奏され、本来の演奏が完成します。と言った感じ。まぁ、完成された物を聴いても理解が追いつくかは別の話だが!

#14. 7 (3:58)
「昏睡状態の夢の中で、イルカに呼ばれて付いていくと、いつの間にかロボットに囲まれており、精密検査や人体実験をされる毎日、脳内がカラフルパニック状態に陥り、私の脳内も機械になっちゃうのかもと、頭グルグル落ち込んでいると、もう一度イルカが迎えに来てくれて、一緒にまた夢の中へ去って行く。」そんな曲です。分からないと思うので、改めてザックリした流れですが、夢心地の音の中にモールス信号とイルカの鳴き声の様なシンセ音のフレーズが鳴っており、そこから曲が始まります。しかし少しすると、曲調が一変し、シンプルな電子ドラムフレーズとロボット風シンセの無機質な演奏に変わります。この組み合わせ(リズムは固定で、シンセフレーズが代わる代わる演奏されて行く)のが、この曲の主な内容になります。ここで演奏されるシンセフレーズが、どれも"いかにもなテクノ"なんですが、一つ一つ音色もフレーズも全然違くて、聴いてて飽きません。勿論、ズレと違和感も満載です。そんな流れがひと段落すると、また序盤の様に夢心地の雰囲気に戻り、ゆったりおっとり曲が終わります。そんな感じです。伝わらないでしょうけど。



総評:"理解"は出来なくても、"良い"とは思える音楽です。
 

 

2017.11.12 Sunday

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