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平沢進・P-MODEL等のニューウェイヴと私の日常を……

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2015.06.06 Saturday

戸川純「好き好き大好き」全曲感想(1985年)

JUGEMテーマ:音楽

 
変幻自在のボーカルで見事に歌いあげられる、8つの愛と恋の物語!!

戸川純ソロ3rdアルバム
「好き好き大好き」!!!!!!!!!!!

 

好き好き大好き(紙ジャケット仕様)


このアルバムは、タイトル通り「愛」と「恋」に関する曲が8つ収録されているんですが、とにかくバラバラ!!「何がバラバラなの?」と思われるでしょうが、全てですね。ボーカルのキャラクターも、曲のジャンルも、愛の形も、とにかくバラバラです!!しかし、それを見事に歌い分けてしまうのが、皆さんご存じの通り、"七色の歌声"を使い分けるボーカリスト、我らが戸川純ちゃんなんですよねー。もう本当にですね、8人分のボーカルを一人でやっているようです。いや、8人分の"人生"を一人で演じているようです。素晴らしい。こんなに順応できるボーカリストは他に居ないと思います。ホントそう思います。


それでわ、全8曲の感想を書いていきます。
 


 
#1.ヘリクツBOY 作詞:戸川京子・戸川純  作曲・編曲:小松世周
いきなり始まって、あっという間の2分間で終わってしまうアップテンポな極上チープニューウェイヴソング。個人的に滅茶苦茶好きな曲です。これが、どのベストにも入って無い意味が分からない。さて、リズムボックスの軽快な8ビートと、ジャカジャカギターが土台になって演奏されるこの曲ですが、イントロは、チープなシンセソロから始まります。もうこのシンセのチープさ加減と、ギター・リズムボックスのペラペラさ加減が相性良過ぎて良過ぎて、早くもメロメロ不可避です。しかも、ソロで演奏されるシンセのメロディも、少しジーンと来る感じで、いきなり良過ぎます。超良い。次に、歌いだしてAメロ。【ヘリクツばかり言う男への文句】を歌うのですが、「詭弁にすぎない口説き文句ね 愛の言葉さえ唯心的なの 方法論で成り立っても 実践性に欠けているのよ〜♪」と、終始言葉が難しい。何だコレ(笑)。そして、そんな難しい内容なのに"さも当然"と言わんばかりに淡々と歌っている純ちゃんボーカル。「ヘリクツBOYより、お前がどうした(汗)。」と思ってしまうこの感じ、とても痺れます。で、そのままの流れでBメロ。歌詞1行分くらいしか無く短いですが、"いたずら妖精"の様な可愛い純ちゃんコーラスが入り、ニューウェイヴ感が俄然アップ。そして、最後にサビ。チープな8ビートで一直線に駆け抜けてきたのに、いきなり3連符とも付かない積ん詰まりギターで「オ・ト・メ・ゴ・コ・ロ・ミ・ヌ・ケ・ナ・イ・ヒト〜♪」このリズムの崩し方は何だ(笑)。しかも、そこが終わったら何事も無かったかのようにチープ8ビートに戻り、2番が始まります。よだれが出る程ニューウェイヴだぜ!!同じ流れで2番も終わると、今度は間奏です。イントロのジーンと来るシンセソロが繰り返される中、純ちゃんの台詞が入ります。「あなたのこと好きだったのに 理屈っぽいんだもん。私、帰る(泣)。」意外過ぎる台詞。「可愛い。」と「どの口が言ってんだ。」が同時に浮かぶ不思議な状態に陥ります。そして混乱のまま大サビ。「そろそろ限界ヘリクツボーーイ!!そろそろ限界ヘリクツボーーイ!!ヘリクツボーイ!!ヘリクツボーーイ!!」。ちょっとどういうことか頭で考えをまとめようとしている内に無情にも曲は終わってしまい、既に2曲目が始まっています。えー、これ最高過ぎるだろ。

#2.好き好き大好き
戸川純の代表曲でもある狂気のラブソング。妖怪でも近づいてくる様なおどろおどろしいストリングのフレーズから曲が始まり、イントロは怪しい音色のシンセでホラーサスペンス風。愛らしいタイトルとのギャップに、思わず違う曲をかけてしまったか心配になると思います。もうこれ、今から血生臭い事件が起きてもおかしくない感じですので(笑)。そして、そんな不気味なイントロが終わるとAメロ。怪しさがいつの間にか消え、シンセベースがメインになります。ドラムも無駄にしっかりしており、ミディアムテンポのリズムをしっかりキープ。後半はハープの様なシンセ音も入って更に怪しさ減退。ボーカルである純ちゃんの歌い方がとても人懐っこく甘えん坊で、いつの間にか可愛い雰囲気に♪しかし、イントロとの違和感が地味に気になる(笑)。と、思っていると曲の肝である衝撃のBメロへ。ボーカルが、美人魔女の様な響く声に急変し「Kiss me 殴るよに唇に血がにじむ程 Hold me あばらが音を立てて折れる程〜」と言う狂気にも似た愛のメッセージを歌い上げます。えー(汗)。驚いている間も無く、サビでまた可愛い人懐っこい声に戻り、「好き好き大好き〜♪好き好き大好き〜♪」。おぅふ、さっきのは何だったのだろう。聴き間違いか(汗)。と安心していると可愛い声のまま「愛してるって言わなきゃ殺す。」で締めて、再びホラーサスペンス風のイントロに戻ります。そんな身震いしてしまう衝撃的な名曲です。いわゆる"ヤンデレ"とかそういう感じに近いかもしれませんが。とにかく、「深い愛情の裏に垣間見える狂気」を曲と歌で見事に表現している点が素晴らしいです。もう大好き。特に曲終盤の可愛い声で繰り返される「好き好き大好き〜♪」と言うサビ。他のサビでは演奏も可愛いままですが、最後のサビだけ、徐々に恐ろしいイントロのメロディが演奏を浸食して行きます。そして、可愛いボーカルと不気味なイントロが並んで演奏される様になり、最終的にイントロが全てを呑み込む形で曲が終わります。これが物凄く後味悪くて、気持ち悪くて、最高に痺れます。大好き。もう本当にこの曲は、純ちゃんにピッタリだと思います。キャラクターとの相性が抜群なのは勿論のこと、この絶妙なニュアンスは彼女にしか出せないでしょ。つまり、大好き。純ちゃんのボーカルの良さが存分に発揮されている名曲です。オススメ。

#3.エンジェルベイビー 作詞作曲:R.Hamin 編曲:岡野ハジメ/小松世周
1960年代に活躍したRosie&the Originalsと言うアメリカのグループのカバー。曲調は原曲同様にアメリカのオールディーズと言う感じで、クリスマスの夜にでも歌われていそうなゆったりしたバラード曲。優しいピアノと優しいリズム隊がメインのアコースティックなバンド形態で穏やかに演奏されます。そして、そんな癒され空間を若干崩すように隙間でチョビチョビ演奏されるいびつなギター。このギターの使い方は原曲には無くて、とても不審で気持ち悪く、良い味出してます。純ちゃんのボーカルは、原曲意識なのか、とっても幼い女の子の様に可愛く歌ってます。しかも、英語詞をいかにもなカタカナ英語で歌うので余計に可愛いと言う。サビなんて「イーンジューベイビー」って歌ってますからね(笑)。余談ですが、個人的にこの曲【バック トゥ ザ フューチャー】のダンスパーティーのシーンで演奏されてそう!って毎回思っちゃいます。みんなも、そう思うよね♪聴き入るので4分があっと言う間に終わります。

#4.さよならをおしえて 作曲:A.Goland 日本語詩:戸川純 編曲:国本佳宏
Francoise Hardyと言うフランスの歌手のカバー(1968年)。原曲のお洒落フレンチ感一切無し、切なさ・重々しさ・禍々しさ満点の重い曲になっております。若干ゆっくりめのテンポで演奏される違和感ありの電子的な打ち込みドラム、不安を煽るストリング、しとしと振る雨の様に悲しいシンセ、とにかく雰囲気が重い。そして何より重いのは純ちゃんのボーカル。中島みゆきの様に低く深い声で、男に「自分のことを愛してくれるまで、いつまでも待っているわ。いつまでも。」と歌い上げます。重い。途中で語りも入ります。「例え私が事故で死んでも ほっとしちゃいけない 幽霊になって戻ってくるわ あなたの名前を呼ぶ為に」こんな怖い忠告聴いたこと無いよ。益々重い。サビが「さようなら〜♪」の繰り返しなのですが、全然"さようなら"させてくれそうにも無いです。深い愛が、もはや"怨念"としか言い様の無い状態です。いやはや、しかし本当に"その人"が存在して歌っているかの様に思わされてしまう辺り、ボーカル・作詞共々、流石の一言です。

#5.図形の恋  作詞作曲:泉水敏郎 編曲:小滝満
明るくテクノポップでニューウェイヴな名曲。この無機質で理数的な雰囲気と歌詞がとても「ハルメンズ」っぽいと思ったら、やっぱり泉水さんの曲でした。若干早足なテンポでグングン演奏される8ビートドラムマシンに、レトロフューチャー感満載のシンセ、なんでそんな使い方するの?なギターに、ノイズと機械音が合わされば、これをニューウェイヴと呼ばずに何と言う。超好きです!!とにかく軽くポップな曲調で、「ほーら見って私は〜、じーゆうじっざいよ〜、あーなたの心にくーみこまれーるの〜♪」と言う童謡を思わす歌い出しのキャッチーさから既にヤバい。そして何より注目して欲しいのは、この曲の純ちゃんのボーカル。"無理矢理歌わされているアイドル"の様で、とても"下手糞&たどたどしい"。このいかにもな"やらされてる感"なんてニューウェイヴなんでしょう。良過ぎる。Bメロ「あなたの好きな〜♪ 形,お好きな〜♪ 色で,お好きなポーズをとるわ〜♪」この歌詞と区切りの位置の微妙なズレが超気持ち良い。そして舌っ足らず感がヤバかわ。で、サビです。「図形〜♪図形の恋は立体的〜♪図形〜♪図形の恋は立体的〜♪」なんて歌詞を歌わせるんでしょう、格好良過ぎ。なのにボーカルは音程もリズムも超不安定で自信無さ気とか、最高です。間奏では針金の様なギターのソロも有ります。普通に格好良いんですが、最後の一音だけ全く脈絡の無いとんでも無いとこ弾いてて、攻めてる感に惚れます。要チェックです。最後は、サビの繰り返しになるんですが、何故か"爆発音"が合間合間に挟まって来て、電子音がノイズ掛かってきます。そして"やり過ぎてバグって来ちゃいました"と言う雰囲気を臭わせながらフェードアウト。はい、本当に純ちゃんは"レーダーマン"然り、"リズム運動"然り、こう言う理系とか数学とかロボットとかと相性良いなと思います。個人的に、ニューウェイヴに於いて"レトロフューチャー感"は、とても重要な要素だと思っていまして、それを見事に歌いこなしてくれてありがとう。ニューウェイブと出会ってくれて、ありがとう。って感じです。以上です。

#6.オーロラB  作曲:J.Scott,M.Areirei 日本語詩:戸川純 編曲:吉川洋一郎
イタリアのKrismaと言う方のカバー(1979年)。四つ打ちに併せてピアノとシンセで怪しくエロティックな魅力を放ち歌われる原曲の雰囲気とは大きく違うアレンジ。タムを多用して作る軽快なのにずっしりしたリズムに、物悲しいオルガンの様な鍵盤、揺らめくオーロラの様なエレクトーン、そして渋いベースで演奏される風景は、まさしく雪山。そこに心細そうに歌う純ちゃんのボーカル。「あなた早く帰って来て」と言う言葉に気持ちがしっかり入っていて、感情移入してしまいます。そして繰り返される「ホーゥホウホウホーゥ...」と言う弱々しい叫び声。これが、なんだか泣き声にも聴こえますし、狼の鳴き声の様でもあります。とにかく切ない。なんか、個人的にオーロラが出る様な外国の情景ではなく、"昭和初期の日本の雪国"を連想します。可哀想だから早く帰って来て。

#7.恋のコリーダ  作詞:戸川純 作曲:服部公一 編曲:国本佳宏
「レインボー戦隊ロビン」と言う1960年代のSFアニメのED曲のカバー。演奏の雰囲気は原曲に近いが、もっとオーケストラ風に豪華にしている。アップテンポで弦楽器をメインにしている曲だが、個人的にアニメのエンディングとは思えない程、雰囲気が怖い。昭和感が凄くて怖い。曲調と時代背景からか「ゲルニカ」の曲に雰囲気が似ているとも思った。純ちゃんの歌い方も「ゲルニカ」っぽい。この曲調とタイトル・歌詞から「闘技場」とか「航海」とか中世ヨーロッパの印象を持ったのに、間逆と言っても良い程の「SFアニメ」の替え歌とわ。原曲がどうかしてる。

#8.遅咲きガール  作詞:戸川京子 作曲:小松世周 編曲:岡野ハジメ・小松世周
バンド感たっぷりにアップテンポで演奏されるブリブリ女の子Let's Go!!攻め攻め曲。純ちゃんの曲の中でもかなり好きな曲です。ピアノとギターを中心にとにかく明るく爽やかなバンドサウンドでお送りするこの曲。「初めてのデートで彼になんかされちゃったりしないかしら?(ワクワク)」的な歌詞を、おませな中学生の様にハシャいで歌う純ちゃんのボーカルが(エセ)ピュアピュアで最高です!!イントロでギターと一緒にゆっくり歌われる「照れた素振りに惑わされないで 私に遠慮なんてしないで」と言う歌詞が、もうこの曲の全体像を総括してます(笑)。良過ぎ。そのイントロから、溜めて溜めて溜めて盛り上がって盛り上がって盛り上がってLet's Go!!なテンションで始まるAメロは、もう"期待し過ぎて部屋でお尻振って踊ってる"くらいにノリノリで爽やか。Bメロ「だけどほんとは襲ってくれなきゃイヤイヤ〜♪」←だだっ子の様な歌い方が可愛い。「そうよアッハン 桜は6分咲き〜♪」←アッハンて言っちゃう辺りとか、自分を桜で例えちゃう辺りが、そんなヤツ居ないだろって気持ちになって最高。そしてサビです!!「遅咲きガール!!遅咲きガール!!初めてのデート〜♪」いやー、もう良いですね。そんな感じで2番へ。何気にサビからAメロに物凄く滑らかに移行するのが、この曲の特徴でもあります。そして2番も終わるとCメロ。今までブリブリだったボーカルがいきなり"百戦錬磨の女性"の様に激しいボーカルになり、更に"肉食女王"と言わんばかりの暴力的なボーカルに変化します。なんだコレ(笑)。そんな大変貌を遂げたにも拘わらずCメロ最後には何事も無かったかの様にまたブリブリに戻ります。これがまさに「グイグイ行ったら引かれるから、おしとやか演じなきゃ、てか、おい、お前から来いよ。」的な恋する女性の歯痒い内面を上手く表現していて痺れます。その後、3番では「6分咲き」「8分咲き」だった桜が遂に「狂い咲き」になり益々ノリノリになります。そして最後にじっくりと「ときめきたい」を懇願して幕を閉じます。素晴らしい。純ちゃんの曲の中で一番明るいんじゃないでしょうか。凄く好きな曲です。オススメ。



総評:やっぱアルバムで聴かなきゃね!!ベスト盤だけで満足してたら勿体無いよ!!!!

2017.12.11 Monday

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